TOKYO2020

支える2020の仕事

東京2020をオールジャパンで盛り上げる。
全国63自治体から木材を集めた
選手村ビレッジプラザ

公益財団法人
東京オリンピック・パラリンピック
競技大会組織委員会
会場整備局長
福島七郎(写真右)
会場整備局 技術管理部
サステナビリティ調達・後利用課
サステナビリティ調達・後利用チーム
主事(取材当時)
得地信一(写真中)
係長
牧原成樹(写真左)

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「日本の木材活用リレー 〜みんなで作る選手村ビレッジプラザ」は、東京2020組織委員会が、環境負荷を低減し、持続可能な大会を実現するために立ち上げたプロジェクトの1つ。全国の自治体から木材を集め、選手村ビレッジプラザをつくることで、オールジャパン体制で大会を盛り上げる。

中央区晴海にある選手村に、「選手村ビレッジプラザ」が建設中だ。ここは、世界各国から集まる選手の生活を支える施設であり、認証を受けたオリンピックファミリー、パラリンピックファミリーや、メディア関係者、居住者の関係者が訪れる施設。雑貨店等の店舗、カフェ、メディアセンター等が設置される。

リオでもロンドンでも、ビレッジプラザといえば簡素な大型テントで建設されている。しかし今大会のビレッジプラザは趣が異なる。木造平屋。使用されている木材は全国63の自治体から無償で借り受けたもの。木材には各自治体名が記されており、世界各国の選手や大会関係者に、自治体の思いや木材の良さを伝えることができる。大会後には解体され、木材を各自治体に返却。公共施設などでレガシーとして活用される予定だ。

「われわれが思っていた以上に、地域の方々の強い思いを感じています」と語る会場整備局長の福島七郎は都庁出身の70歳。「これが最後の仕事」というだけに、自身もこのプロジェクトに賭けるものは大きい。

「東京2020は東京だけのものではなく、国をあげての行事です。普段、東京との関わりのうすい地域であっても、このプロジェクトを通じて、東京2020と関わりをもっていただける。また各自治体を訪ねるたび、皆さん『東京2020を盛り上げていきたい』という声を大にしてくださる。絶対に成功させないといけない、私もそういう思いになります」

63の自治体から木材を調達する。大会終了後は解体し、各自治体に戻す。口でいうのは簡単だが、そのオペレーションは一筋縄ではいかない。例えば、地域によって木材の特性が異なるのも悩みのタネだ。㈱LIXILから組織委員会に出向している牧原成樹は、こう話す。

「会社ではアルミサッシやカーテンウォールの設計をしていました。アルミ材は、全国どこの工場のものでも品質は均一です。でも木材は1つとして同じものがありません。同じヒノキであっても、硬さ、水分量、育った地域、場所によってそれぞれ違いがあり、曲がりやそりが発生する場合があります。手を挙げてくださった自治体の木材をどこにどう組み込むかという議論は、かなりの時間を費やしました。BIM(Building Information Modeling)を用い、約4万本の木材を1本1本管理しています」

「ひとえに各自治体の皆さんとのコミュニケーションに尽きます」と語るのは、都庁から出向してきた得地信一だ。自治体側では林業を専門とする部署が担当していることが多いというが、建築や加工などに関する細かい技術的な部分まで伝えるのは、やや勝手が違う。どんな些細なことでも、コミュニケーションをおろそかにはできない。

「でも、そこには『一緒に一つのモノを作り上げる』感覚があります。お互い初めての経験ですから、苦労するのは当然。お互いねぎらいながら、励まし合いながら、1つ1つ、プロジェクトを進めています」

大会まであと1年足らず。全国63自治体と組織委員会の気持ちはすでに1つになった。あとは、ここを訪れる世界200か国以上の人々にこの思いを読み取ってもらえるかどうか。それが果たせた時、このプロジェクトは成功を見る、と福島は語る。

「この仕事に関わることができて、誇らしく思っています。やりたいと思ってもやれない人がいることを思えば謙虚にならないといけないのでしょう。でも冗談じゃない、この仕事を代わるものか、と思っています(笑)」

3人が今、共通して思い描いていることがある。ビレッジプラザが解体され、各自治体に持ち帰られた後の木材をたどる旅をすることだ。自身が関わったプロジェクトの最後を見届けたい、東京2020を皆で盛り上げた証を探したいという。

「63自治体を見て回るのは大変そうですね(笑)。でも旅先で自治体名の付いた木材を偶然見かけることがあったら、きっとすごく嬉しいでしょうね」(牧原)

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