TOKYO2020

支える2020の仕事

“個”が当たり前に
尊重される世界を
東京2020オリンピック・
パラリンピック後に
残すために

根本篤子
株式会社リクルート 人事統括室
ダイバーシティ推進部 イベント・支援グループ

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2018年12月5日、株式会社リクルートは「東京2020を契機に考えるLGBTQ&ALLY(以下、アライ)セミナー」を開催した。アライとはLGBTQなどセクシュアル・マイノリティについて理解・支援し、行動する人たちのことだ。本イベントは東京2020大会の参画プログラム。大手企業の人事担当者を中心に70名ほどが集まり、東京2020大会開催に向けて企業に求められるLGBTQ施策や、そこでのアライの役割を学んだ。

最初に、東京2020大会とセクシュアル・マイノリティの一部であるLGBTQ施策の関わりを整理しておこう。今、LGBTQ施策を推進する機運はかつてなく高まっている。発端は2014年、オリンピック憲章・根本原則6において性別・性的指向に関する差別の禁止が明記されたこと。2016年、東京2020組織委員会は「持続可能性に配慮した調達コード 基本原則」において、東京2020大会に関するサプライヤーやライセンシーとなる事業者に対し、性的少数者に対する差別やハラスメントの禁止を定めた。

そして2018年、東京都において「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例」が成立したことが決定打となった。「誰もが認め合う共生社会を実現し、多様性を尊重する都市を作りあげる」と都が宣言し、「性自認及び性的指向を理由する不当な差別的取扱いをしてはならない」と明文化したのである。これは都道府県の条例としては初のこと。以来、どのようにLGBTQ施策を推進していくべきか、都内全ての企業が問われているのだ。

根本篤子は、セミナーを企画したリクルート ダイバーシティ推進部の1人だ。根本の企画の中で参加者からの反響が特に大きかったものに、LGBTQ支援とアライを増やす取り組みを行う東由紀氏の講演がある。東氏は、LGBTQを取り巻く国内外の現状と、企業におけるLBGTQ施策のポイント、アライの効果を解説した。

LGBTQ施策の重要性は認識しながらも、「どこから手をつけていいのか、わからない」との企業の声も少なからず聞こえる。東氏はその疑問に対し、まず人権規定に性的指向/性自認/性表現について明記することから始め、次にハラスメント防止ガイドラインにLGBTQについて明記、実務担当者向けに研修を実施……と、手順をわかりやすく図式化してみせた。

「併せて、環境づくりとして施策を推進するだけでは不十分で、認識・受容に向けた取り組みとしてアライが行動していくことが大切だということもわかりました」と根本はいう。

職場にアライがいるとLGBTQ当事者の勤続意欲が向上する、職務満足度が高まるといったことがデータでも示されている。自分の隣にアライがいること、LGBTQ当事者にとってはそれが何よりの支えになる。LGBTQを考えるうえで非常に大きな存在だ。

「そのためにはアライ側も、自分がアライであることを表明する。そしてLGBTQに関する誤った認識を職場で見聞きしたら正す、といった具体的なアクションが必要です。今年の12月にはイベントの第二弾として、アライとしての具体的なアクションを学ぶ場をつくる予定です」(根本)

根本はこれまで3人の子どもの出産・育児を経験しながら、仕事をしてきた。第一子を妊娠した当時、ワーキングマザーはまだ、どちらかというと職場のマイノリティだった。
「そういった環境のなかで働き続けて、時代の『ちょっと先』を走ってきたと言えるかもしれません。その分、今困っている人がいれば、自分の経験や知識を伝えるよう努めていました。ダイバーシティ推進部の仕事も、それに近いところがあると思います。LGBTQに限らず、女性活躍や介護、障がいといったさまざまなテーマにおいて、必要なサポートができれば、という気持ちでいます」

目下、リクルート社内でも、さまざまなLGBTQへの理解に関する取り組みを推進している。2018年には、管理職向けにLGBTQ理解のためのeラーニングを配信。2019年にはこれをアップデートし、全従業員向けに展開した。またLGBTQ専用の相談窓口も新たに設置した。

「リクルートにとってダイバーシティ推進は不可欠なものです。創業当時から当たり前のように“個”を尊重する文化があり、男女の区別なく活躍できる環境がありました。こういった企業だからこそできるLGBTQ施策とは何か、をいつも考えています。東京2020大会後に残したいレガシーは、LGBTQが当たり前に受け入れられている世界。そんな世界がずっと続いていてほしいと願っています」

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