TOKYO2020

支える2020の仕事

子供たちが育てた
約40,000鉢のアサガオで会場を彩る
「フラワーレーンプロジェクト」

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
警備局 装備調達部 警備予算課
課長 小島良一(左)
主事 鈴木雄介(右)

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「アサガオを育てて東京2020大会を盛り上げよう」というキャッチフレーズの「フラワーレーンプロジェクト」。大会会場に設置する鉄柵の代わりにアサガオの鉢植えを並べよう、というプロジェクトだ。けん引するのは東京2020組織委員会の警備局。警備とアサガオ、普通に考えると縁のないように見えるこの二つだが、プロジェクトは警備局の雑談の中から生まれ、花開いた。

東京2020オリンピック・パラリンピックの会場で試合を安心して観戦するためには、入場時のセキュリティチェックが必要不可欠だ。セキュリティチェックのレーン数は全会場で2,000カ所にものぼるという。そのレーン設置に必要な資機材の一つに「鉄柵」がある。2,000カ所の鉄柵の総延長は12kmにもなり、予算も膨大な金額になる予定だった。

2017年の夏、「鉄柵ではおもしろくない」と考えていたのが小島良一。当初、鉄柵はレンタルで調達する予定だった。しかし、小島には「終わった後に何も残らないのはもったいない」との想いがずっと心にあった。
それと同じ時期、鈴木雄介は「子どもたちに東京2020オリンピック・パラリンピックに対して、もっと興味を持ってもらいたい、子どもたちが関われるプロジェクトが少ない」と課題を感じていた。その解決法が何かないかを考えていたさなか、雑談の中でその二つの要素が交じり合い、化学反応を起こした。

「子どもたちに作ってもらおう!」

子どもたちに鉄柵に代わるものを作ってもらおうというアイデアは出たものの、そこからが長い道のりだった。
誰が作るのか、どうやって会場に運ぶのか。鉄柵の代わりになるようなセキュリティレベルを保つことができるのか。考え出せばキリがない。
そして、これといったものを見つけることもできずにいた。
だが、突然解決の糸口が見つかったのはまたもや雑談の中からだった。

「なにか鉄柵に代わるようなものはないだろうか?」
「植木でも並べるか?」
「植木だと育つまで時間かかる。大会が終わったころにやっと芽が出るくらいでしょ」
「夏だから、ミニトマトでも植えれば?」
「実がなったら、だれが収穫するわけ? 安全性が確保できていないものを観客の方々に食べていいとも言えないし」
「じゃあ、アサガオは? 夏っぽいでしょ?」
「それだ!(一同)」
こうしてフラワーレーンプロジェクトが生まれた。

2019年の夏に潮風公園で実施されたビーチバレーのテストイベントでは、東京都立臨海青海特別支援学校の生徒がアサガオとひまわりを合計約100鉢、江の島ヨットハーバーで実施されたセーリングのテストイベントでは神奈川県藤沢市の八松小学校、高砂小学校、村岡小学校の3校で合計450鉢の朝顔を育ててもらい、会場に並べた。

「『言うは易く行うは難し』とよく言いますが、アサガオを育てるのにどんな苦労があるのか、身をもって知るために、我々も実際に育ててみました。小学生に戻った気分でした」と、鈴木雄介。東京都から東京2020組織委員会に出向している30歳。警備局に着任する前は東京2020オリンピック・パラリンピックで行われる競技の準備をするスポーツ局で勤務していた。そんな鈴木は、「まさか自分が警備局に異動して朝顔を育てることになるとは思ってもみませんでした」という。

このプロジェクトを統括しているのが、小島良一だ。また自らも、子どもたちにアサガオの育て方を教え、東京2020にみんなに参加してほしいと多くの学校に足を運んだ。

小島がセコムから東京2020組織委員会に着任したのが2014年。当時はマニュアルもなく、過去大会の経験者もほとんどいない状態。まさに手探りの状態から大会の警備体制づくりに取り組んできた。そんな小島が大切にしている言葉は「現状打破」「否定の精神」。通例や常識といったものを鵜呑みにせず、その時その時で何がベストかを突き詰める。セコムでの業務で身に染みついたというこの姿勢が「フラワーレーン」というこれまでにない警備を実現する原動力だ。

東京都立臨海青海特別支援学校では、テストイベントで使用したアサガオを種になるまで世話をし、その種を組織委員会に寄贈、その種を本番大会で一部使用する。東京2020オリンピック・パラリンピックに関わるレガシーとして、鉢についても今後も子どもたちが継続して使用していくことになっている。

東京2020では開催自治体の子どもたちを中心に、約400校で育てられたおよそ40,000鉢のアサガオなどが競技会場の手荷物検査場を飾ることになる。暑い日本の夏を彩るアサガオの花と緑は、世界から訪れる人々に日本の涼とおもてなしの心を伝えてくれる存在になるだろう。

本番まであとわずか。小島、鈴木も子供たちのアサガオが会場に並ぶ日が待ちきれない。「携わってくれた子どもたちが、東京2020オリンピック・パラリンピックを身近に感じ、大人になった時も『あの時、アサガオ育てたなぁ』と語ってくれるようなプロジェクトにしたいですね」

掲載写真:©TOKYO2020

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