TOKYO2020

支える2020の仕事

社員として、
アスリートとして、
新しい働き方を自ら
つくることだってできる。
パラリンピックを
目指す想いから生まれた
「アスリート支援制度」

株式会社リクルートオフィスサポート
経営企画室 広報グループ・
車いすバスケットボール選手 村上慶太
経営企画室 室長 榎本智幸

up

株式会社リクルートオフィスサポートには、現在、東京2020パラリンピックを目指す6人の社員アスリートが所属する。
彼らは週の半分を会社員として働き、残りの半分で競技活動を行う。
それを叶えているのがリクルートオフィスサポートの社内制度である「アスリート支援制度」だ。

この制度は、社員アスリートの一人、車いすバスケットボール選手である村上慶太の「パラリンピックに出場したい」という想いがきっかけとなって生まれた。
働くことと競技を続けることを両立した、リクルート独自の社員アスリート支援の形だ。

障がい者雇用を促進する特例子会社リクルートオフィスサポートの「アスリート支援制度」は、週の半分の2.5日は出社、残り半分の2.5日は競技活動に取り組むという仕組み。
アスリートとしてもビジネスパーソンとしてもキャリアを積むことで、選手生活をリタイア後も働き続けられる制度になっているのが大きな特徴となっている。

制度を提案してつくった村上慶太は、自ら東京2020パラリンピックを目指すアスリート。
彼の1週間は忙しい。週の半分は社員として広報の仕事や、人手の足りていない部署へ応援派遣として行き、要請された業務を行う。残りの2.5日は、アスリートとして競技活動に専念する。
車いすバスケットボールチーム・千葉ホークスに所属し、ポジションはガードをつとめる。

村上が提案した「アスリート支援制度」は、会社員のキャリアとアスリートのキャリアの間で悩む中から生まれてきた。

村上は交通事故で19歳から車いすの生活に。もともとスポーツが好きだったこともあり、さまざまな障がい者スポーツにチャレンジする中、車いすバスケットボールに夢中になった。
2008年にリクルートオフィスサポートに入社してからも、働きながら車いすバスケットボールを続ける。最初は趣味だったバスケットボールは次第に本気で取り組む存在になり、フルタイムで働きながら練習を重ね、強豪といわれるチームへの移籍を叶えるまでになった。

しかしそこで直面したのはプロアスリート選手との練習時間の差だ。
「プロアスリートは会社に所属し、仕事として練習ができるという雇用形態のアスリート。つまり僕が会社で働いている間もプロアスリートは練習をしている。練習量の差は圧倒的でした」

もっと練習がしたいという気持ちが強くなっていったが、同時にある迷いもあった。
「会社員としてのキャリアを追うのか、アスリートとしてのキャリアを追うのか、僕の中ではまだ定まっていなかった。バスケだけを追いかけることは、会社員としてのキャリアをストップさせるということになるのかもしれない……と、ずっと迷っていました。その迷いを上司に伝えると、会社員とアスリートが両立できるように支援制度を会社に提案してみないかと言われたんです。そこで想いが固まり『パラリンピック出場』を目標とした計画を練り、アスリート支援制度の提案書を作成しました」

村上の提案書を受け取ったのは、当時社内制度の責任者を務めていた榎本智幸。
「提案書はすぐに制度化できる内容ではなかったのですが、村上の本気度は知っていました。全てのことに熱意を持って行動していて、ひとつ質問すると10個くらい回答が返ってくる。本気度を感じるには十分でした」。

リクルートオフィスサポートは「個の尊重」「社会への貢献」「可能性の追求」を経営の三原則としている。
榎本は、会社の理念と、村上の想いを結びつけることで、「アスリート支援制度」を具体化させていった。
「当時、会社とプロアスリート契約している人たちは100%競技活動に時間を使えるように支援されるのが主流。けれど、村上が迷っていたように、その手法だとビジネスパーソンとしてのキャリアを積みにくいため、競技生活が終わったあとに道が絶たれてしまう可能性がある。それならば、キャリアを断たないように支援して、その不安を少しでも無くしてもらいたいと思いました。きっとそれが、リクルートオフィスサポート流のアスリート支援になるだろう、と。そこから生まれたのが週の半分だけ競技生活をする『50%ルール』です」。

村上もこの50%ルールがあることで安心して競技に取り組めるという。
「2020年にパラリンピックに出場することだけを考えれば、100%競技に専念する制度がいいのかもしれない。でも、障がい者スポーツのアスリートは、その後の道の選択肢が豊富ではありません。半分は会社員として働き続けることでその先の生活が担保されるので、安心して競技に取り組めるんです」。

週の半分=2.5日だけ働くというアスリート支援制度は、同時に2.5日で結果を出せる新しい仕事を生み出すきっかけにもなった。
それはあらゆる社員の働き方の可能性を広げることにもつながっている、と榎本は語る。
「この制度をきっかけに、いろいろな部署に2.5日でできる業務を探してもらうようお願いしました。結果、短時間で成果を出せるような『新しい働き方の形』をつくることができたんです。アスリート支援制度に限らず、障がいや育児、介護などと平行して働く社員のために新しい制度や働き方を考えなければいけない時代です。それを考えると、従来型のフルタイム勤務以外の働き方を取り入れた良い事例になったと思っています」。

また、村上は時間に制約はあるもののアスリートとしての活動が濃くなったことが、仕事にも役立っていると感じている。
「限られた時間の中で成果を出すということは、アスリートで最も求められる資質のひとつ。例えば試合で5分しか使われなかったとしても、そこで成果を出さなければ次の出場時間はもっと短くなってしまいます。成果についてのこだわりはそのまま仕事にも活かされています。2.5日の中で、どれだけ成果を出せるかという気持ちで働けていて、いい循環ができています」。

榎本は支援の根底にある目的は「アスリートとして活躍できるように」というよりも、「アスリートである社員も長く働けるように」というところにある、と語る。

アスリート支援制度は東京2020パラリンピックを目指すアスリートのためだけでなく、未来の働き方への可能性まで広げている。

SHARE

  • Twitter
  • facebook
  • LINE